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『男の隠れ家』2008年2月号 [2008/01]

2008年1月28日月曜日。
昨日のニュース。大相撲初場所、千秋楽結びの一番で1敗同士の横綱対決。
白鵬が上手投げで朝青龍を破って優勝。すごく久しぶりに力の入るいい相撲を見た。
大阪知事選は与党が推す橋下弁護士が楽勝。こちらは全然力の入らない戦いだった。


『男の隠れ家』2008年2月号 株式会社あいであ・らいふ発行 定価680円
◆特集「日本列島個室列車2008乗りつくし ローカル線冬の旅」

「ああ、立ち食いそばが食いてえ」
読み終わった直後、そう思った。

『男の隠れ家』という雑誌名に引かれて書店で買ってはみたものの、
実はなかなかページを開けることができないでいた。
ちょっと忙しかったこともあるが、それより環境のせい。
うがうが、だあだあ、やんややんや、とーちゃんとーちゃん。
0歳児と3歳児が交代で騒いでいる部屋で、読む気になれなかったのだ。
どう考えても「隠れ家」とは程遠い状況なので、躊躇しまくっていたのだ。
そんな中で、鉄道好きの3歳児が先に、母親といっしょに見て喜んでいたので、
悔しくなってがんばって勇気を出して読んでみた。

なかなかそそる雑誌である。

ガタゴトと2両編成の列車に揺られて、知らない土地の景色を眺めてみる。
あるいは、あこがれの寝台列車に揺られて、ぼーっと自分の人生を振り返る。
誰もが金にあかせて便利とスピードを追い求める時代、
わざわざ不便さを追い求めてみよう、
のんびりだらだら時間を無駄にしちゃってみよう、
それが今、男にとって一番の贅沢ってもんじゃないか!
というコンセプトを<冬の旅>を通して提案している。
その旅路こそが「男の隠れ家」だと言っている。
うらやましい。

この雑誌の写真を撮っている人や記事を書いている人は、
それこそテツ=鉄道マニアか、鉄道の超プロな感じがする人たちなので、
(テツ業界には詳しくないのでよく知らないが)
写真も文章も本格派で、すばらしく見応え読み応えがある。
いわゆる“こだわり”がホンモノなので、まったく鼻につかない。
美意識や美学や人生観や生きがいがいっぱい詰まって680円は、ホントに安いと思う。
ただし、
コンセプトの「隠れ家」的な気分にはさせてくれない。
なぜなら、写真家やライターにとって、この旅路はまさに
「正念場」であり「表舞台」だから。いや「ひのき舞台」というべきか。

その矛盾からか、読んでいるほうとしてはなんだか途方にくれる。
論理的には旅=「隠れ家」だってわかるんだけど、
実感としてはどうも腑に落ちてこない。
雪降る夕暮れ、泊まるところなんかどこにもなさそうな町、駅舎の前で呆然と立つ--
そんなあったかなかったかわからない記憶が浮かび上がる感じで途方にくれる。
んで、頭の中をある思いがぐるぐると回る。

「俺の隠れ家ってなんだろう…?」

仕事柄、だいたい家にいるのでほぼ毎日3食、妻子とともにする。
たまに仕事仲間や友人と飯を食ったり酒を飲んだりするがそれは「隠れ家」じゃない。
子供が寝た後、夜中に酒を飲みに行ったりすることもあるが、
「隠れる」というより「世間に触れに行く」ためである。
一人きりになる時といえば、仕事で取材や打ち合わせに行く時の電車の中だが、
これも今は「社会の様子を見る濃密な時間」になっているので、
「隠れる」というより逆に「外に開いて」いる。

で、結局行き着いたところが、<立ち食いそば屋>だったのだ。
べつに<立ち食い>じゃなくて椅子があってもいい。
駅の中や、駅前にある安いそば屋なら。
自動販売機に300円を入れて、<天ぷらそば(かきあげ)>のボタンを押して、
おばちゃんかおじさんに「そばで」と告げ、
目の前でさっと作られる様子を死んだ魚のような目で見て、
ざざっとできあがったそばに、どどっと七味唐辛子を入れて食べる。
約5分。
汁まで全部飲んで、水をもう一度飲んで、
「ごちそうさん」とつぶやいてどんぶりを返して店を出る。

この場所、この時間が今の俺にとって「隠れ家」なんだと思う。
誰にも邪魔されず、完全に自由であり、
そばを食べたことは誰にも言わない、完璧な秘密にすることだってできるんだから。

結局、実際には「隠れ家」なんてそんなもんだろうと思う。
で、そう思いながらもやっぱり「俺だけの特別な隠れ家」にもあこがれてしまう。
男の見栄というか、ちょっとしたカッコつけなんだけど。
「隠れて」いるのに、外見やスタイルを気にするというか。

お! おおおおお! ハタと気づいた。
金田一耕介シリーズの轟警部風に言えば「よし、わかった!」だ。
今、こうして書いている<ブログ>ってヤツこそが
「隠れ家」的なもんなんじゃないだろうか。
俺にとっても、多くのブログを書いている人にとっても。

ブログを書いてないだろう朝青龍はモンゴルに帰れるんだろうか。
今度サッカーをやるときは「隠れ家」というか「隠れグラウンド」でやるのかな?


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