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『かいじゅうたちのいるところ』 [2010/01]

午後1時半。
昼飯時からちょっとずらして『江ぐち』へ。
びっくりした。
eguchi.jpg
「売り切れ」

張り紙が張ってある。
20年以上通っているが、『江ぐち』で初めて見た文面。
地下の店の様子を見に階段を下りてみると、
“売り切れ直前に間に合った人達”が店の外に並んでいる。

店の中ではない、店の外に並んでいるのだ。
これもまた尋常ではない事態。


次男がジジババのところにいるのでこれはチャンスと、
夕方、長男を連れてとしまえんの映画館へ。
『かいじゅうたちのいるところ』を吹替で観る。

お客さんはうちを入れて3組。
みんな子供連れだった。

映画は笑って泣いた。
主人公やかいじゅうのキャロルがあまりにも
うちの子供たちやその友だちたちにそっくりで。

そして、となりで映画を観ている長男の
鑑賞中の反応もまさに、
映画に登場する少年とかいじゅうたちにそっくりだった。

子供の恐怖にはいろんなものがある。

一つは、暗闇やお化け、目に見えないものに対する恐怖。
一つは、寂しさや頼りなさ、孤独に対する恐怖。
もう一つは、つまらない状態、退屈に対する恐怖。

この三つは、実は絡み合って出現することが多い。
どれも“愛情の不足感”が怖さを呼び起こすので。

さて今回、長男が一番発していたのは「VS.退屈」。

かいじゅうがウルトラヒーローかなんかと
戦うんじゃないのかという熱い期待が裏切られ、
でも帰ろうと言い出すほど面白くないわけじゃないし、
でもずっと観てるとなんか飽きてきて、
もっと面白いシーンがやってこないかとそわそわしている。

その感情が長男に恐怖を呼び起こしているのが
触れている肩ですごくわかる。

飢餓感なのだ。
もっと美味しいものをくれないと飢えてしまう。
その予感が恐怖を生み出す。

実は先週の土曜日に『かいじゅう』を観ようと、
吉祥寺の映画館へ子供なしで出かけたのだが、
あんまりにも並んでいたので観るのをやめた。
で、その並んでいる人達のほとんどが、
まだ親にはなってないと思われる若者たちだった。

俺とは全然違う感想を持つんだろうなあと
その風景を思い出して、ちょっと思った。


『江ぐち』に対して、
主人公の少年や長男のように
切実な飢餓感はべつに持ってはいない。
“喪失に対するじんわりした恐怖”は
大人の特権なのかもしれない。

あと3日。
果たして「チャシュー2枚にビール」と
もう一度カウンターで言えるのだろうか?



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