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『瞳の奥の秘密』 [2011/03]

アルゼンチン映画『瞳の奥の秘密』をDVDで観た。
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ある強姦殺人事件を担当した判事(検事?)の
恋愛と正義のサスペンスドラマ。

なんとなく『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を思い起こすような色調で、
ふたりの男が抱く決して消せない情念が描かれている。

過去と、現在。
正義感と、恋愛心。
二本×二本の軸が交差することで、
見ごたえのある映画らしい映画になっていた。

久しぶりに長男を叱って、泣かせた。

おもちゃを大切にしなさい! と注意した母親に対して、
減らず口を叩いたので怒ったのだが、
最終的には幼稚園の友達の話になった。

ある友達から、
大人に対して反抗することを強要されている、と言うのだ。

うーむ。

同じように振舞わないと殴られる、と言うのだ。

うーむむー。

だからいっしょに遊びたいんだけど、遊んでると苦しいんだ……

というような意味のことを
泣きじゃくりながら子供の言葉で告白している。

ちょっと考えて、

「悪いことはやめようぜ!
 そう言い合えるのが本当の友だちというものなんだ。
 だから、言いなりにならないで、
 ダメなものはダメと言って、
 きちんと言葉で闘いなさい」

そういう論旨を長男に語ることを選択した。
ま、ありきたりだが。

10回言ってもダメだったらどうするの?

「10回言ってダメでも、もっと言い続けなさい」

100回言ってダメだったら?

「100回でダメでも、言い続けなさい」

1000回だったら?

「1000回でダメだったらもう1000回」

じゃあ、10000回言ってダメだったら?

「10000回言ってもダメだったら、しょうがない、友達にならなくてもいいよ」

と、そこで長男がホッとしたのか表情が落ち着いた。

話しながら、
長男の頭の中で、
友情だの、正義だの、甘えだの、恐怖だの、経験だの、未来だのが
バリバリ交差しているのがよくわかる。

なかなか“瞳の奥の秘密”を見せようとはしなかった。
というか、説教が終わって笑顔になっても、
最後まで秘密を見せきってはいないように思えた。

ヤツも相当に大人になっているのだ。

『瞳の奥の秘密』のラスト、
主役の女優がとっておきの表情を見せるのだが、
その顔に思わずニヤリとさせられながら、
ツツツーと涙をこぼさせられた。

「簡単じゃないわよ」

女優の言葉が心に残っている。

つらい過去を克服することも、
充実した未来を探すことも、
どちらも、今現在を闘いながら生きることでしか可能にならない。

「簡単じゃねえけど、がんばれよ。
 俺もがんばるから」

涙だらけで懸命に笑う長男の顔を見ながら、
そう心の中で言ってみた。


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