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タヌキとキツネ [2013/06]

幼稚園の年長の次男が、
いつものように突然しゃべりだした。
kaodasi.jpg

「今日、幼稚園でタヌキ見つけたんだよ」

タヌキ?

確かに、
この近くは時々タヌキが顔を出すという噂がある。
幼稚園に出没する……
可能性は、ないこともない。

話半分で、
へー、そりゃよかったねー、
と話を合わせていたら、

「でもね、タヌキだって気づいたの僕だけなんだよ。
 だって、ネコに化けてたんだもん、タヌキが!」

化けてた?
タヌキがネコに?

そりゃ、タヌキじゃなくて、ネコだろ、もとから。

と言うのをやめて、
すげえなー、よくわかったなー、
とか言いながら頭を撫でた。


NHKで『プロフェッショナル』という番組がまた始まって、
そのなかの
「居酒屋店主・中村重男」
という回を観た。

大阪の居酒屋を営む男の話。

観ていて、
すごいなーと思ったのは、
そこに来ているお客さんの表情だった。

テレビカメラが入っているので、
そのカメラを意識してしまうのが普通だろう。

だけど、
この居酒屋で料理を食べ、
呑んでいる客たちは、
まるでカメラやカメラマンや、
そこにいるだろうディレクターなどのスタッフを
全然意識していないのだ。

というか、
そのカメラさえも同じ飲み客仲間のような気分で
適当にうっちゃったり、
くっちゃべったりしているのが、
画面を通して伝わってきた。

たぶん、酒がうまいからだろう。
たぶん、つまみが美味いからだろう。
たぶん、店主の会話が魅力的だからだろう。

いいなー。

そんな客たちの顔を見ていたら、
呑み屋に行きたくなった。

それから、
また呑み屋をやりたくなってきた。


タヌキがネコに化けてたのかー、
すげえなー、よくわかったなー、

などと、次男をおだてていたら、
横で聞いていた小学校3年の長男が
ついにツッこんできた。

長男「それさー、違うんじゃねえの」

ムッとしながら次男が長男を見る。

次男「タヌキじゃないっていうの!?」

長男め、
もとからネコだって指摘するつもりだな。
そんなの言わぬが花なのに。

長男「そのネコはさ……
 タヌキじゃなくって、
 キツネじゃね!?」

えっ?
キツネ?

そうきたかー。

長男「ま、俺のカンだけどな」

次男「キツネかもなー、でも僕はたぶんタヌキだと思うよ」

その後、
二人の兄弟は、
タヌキとキツネの化け方の違いについて、
あれこれと討論していたが、
いつのまにか
ポケモンの話に移って、
タヌキとキツネ話は終わってしまっていた。

もし、また呑み屋の店主をやるならば、

「タヌキに化けたネコを見たんだよー」

と話す客に、

「それはキツネが化けてるんじゃね、俺のカンだけど」

と言えるような店主になりたいもんである。



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