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『予告犯』 [2015/06]

50歳を過ぎて、
最近、死ぬまで診てくれる
主治医がほしいなーと思っている。
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実際、
最期に看取ってくれるのは
家族でも友人でもいいし、
ま、一人で死んでいくのも悪くない。

ただ、
例えばどこか遠くの国にいても
一本電話したら、
身体の具合の相談にのってくれる……
そんな心のよりどころにできる医者がいたら
いいなと思うようになった。


映画『予告犯』を観た。

漫画が原作だが、読んでない。
監督は中村義洋、主演は生田斗真。

ネット上に大胆に“予告”をして、
その犯罪を実行する物語……
というのを映画館の予告で見ていたので、
スリリングでショッキングな
ちょいと『スピード』っぽい犯罪映画かと思っていたが、
どちらかというと、
中村義洋監督の『アヒルと鴨のコインロッカー』に近い、
孤独な人間の心が触れ合って
小さいけれどずっと忘れられない
火が起こる……という話だった。

もちろん、そういう意味では
スリリングでショッキングな映画なんだけど。


金がなく、
孤独を抱えて生きる青年が、
仲間を見つけて、
ある目的のために、
犯罪の予告をしていく。

目的が成就する時、
主人公は自分の死を予告する。

彼の抱える孤独さと、
仲間に対する友情が、
観る人の心の中で切なく交差して、
涙をこぼさせる。

生田斗真という役者は、
ふり幅の広い役者だなと思う。
人間が持つ両サイドの部分を持っているというか。

すごく朗らかな部分と、陰鬱な部分。
あたたかな優しさと、クールな残酷さ。
おバカさんなところと、頭が切れるところ。
誰にも好かれる笑顔と、近寄りがたい孤独な顔。

そういう意味で考えると、
この『予告犯』の主人公は
ハマリ役なんだなと思う。

派遣切りに遭い、
生きることが難しくなった“奥田”と、
目的に向かって
すばらしい頭の良さを発揮する“ゲイツ”。

一見、矛盾しているような主人公のキャラクターを
生田斗真という人間の力が
見事にまとめていると思った。


最期の時まで
つきあってくれる医者はまだ見つかっていない。
もしかしたら
ずっと見つからないのかもしれない。

うーん、
なんか不安だなーと思った時は、
『予告犯』のラストカット、
人懐こく笑う生田斗真の顔を思い出しながら、
海岸でも行って
寿司でも食べることにしよう。



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