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『マイレージ、マイライフ』 [2014/09]

シチリアへ取材旅行に行った。
シチリアの道.jpg
その行きの飛行機で
映画『マイレージ、マイライフ』を観た。

見始めてすぐ、
ふたりの知り合いの顔が浮かんだ。

一人はニューヨークにしょっちゅう行ってるバツイチ男。
もう一人は去年入社したばかりの女子社員。

ふたりとも同じ会社に勤める編集者だ。

この映画に登場する二人が
上の二人になんか似ていたのだ。


ジョージ・クルーニー演じるは、
全米を飛行機で飛び回って
リストラを宣告していくビジネスマン。

家庭の愛情を恐れ、
畏れるが故にあきらめ、否定しようとして、
マイレージをためることのみに情熱を注ぐ男。
かなり“ダンドリくん”でもある。

その部下となって、
いっしょに全米を回る女子新入社員。
仕事も、男も、愛情も、プライドも
自分なら必ず手に入れられるはずだと
素直に思っている女の子。

根拠のない自信があって、
それは鼻につくこともあるのだけれど、
根拠がないだけにみんなから愛されやすい。


この正反対な二人が行動を共にすることで、
化学反応を起こしていき、
自分がいるべき居場所はどこなのか考え直す話。

で。

もう一度、家庭の愛をつかむことに
挑もうとしたリストラ宣告人だったが、
観客も期待していなかった事実が
主人公にたたきつけられる。


この映画のラストには
えーっ!?
とか、
宙ぶらりんでイヤだこんなの!
とか、
よくわかんないな…
とか、
そういう気持ちになる人も多いと思う。

だけど、
俺はこの映画のラストがたまらなく好きだ。


残念なことや、
残酷なことがいっぱいある人生。

この映画に登場する人間たちにも
残酷なことが突然叩きつけられていく。

それは俺たち観客もおんなじ。

そんなみんなに、
俺たち観客にも映画に登場している登場人物にも
プレゼントが贈られる。

夜空を見上げてみると、
いるんですよ、そこに、
あんたと同じ寂しい人が。

という事実。

「淋しいのはおまえだけじゃない。」
って。

映画の出口を
フィクションだけの出口にしていないのだ。

そういう意味で、
こんなに優しいラストは今まで観たことがなかったと思う。


飛行機に乗ったとき、
旅に出ているとき、
毎日毎日、人生の道を歩いているとき、
俺たちは
ふと誰かの顔を思い出して、生きていく。

それが旅を続けるパワーになってる。

ですよね、二人の編集さんよ。



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