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トヨタ・ノア/ヴォクシー [2012/11]

『お菓子を食べながらのんびりしようクラブ』
seibuenhikoki2.jpg
というのを、
小学校2年生の長男が結成したとのこと。
同級生の7人で。

で、日曜日の午後2時、
みんなで公園に集まろうという話になったそうな。

11月の寒風が吹く<三角公園>に
はたして友だちが集まるのだろうか?
雨も降りそうだし、
今度の週末は学芸会もあるし、
行こうとしても親が止めるんじゃないだろうか?

だいたい、小学2年生の約束など
ノリだけで覚えてない場合が多い上に、
そもそもそんな

『お菓子を食べながらのんびりしようクラブ』

などというものを
あの連中が本気にしているとは思えない。

それでも、
ま、行ってみりゃいいさと
長男を送り出した1時半過ぎ。

なぜか
このクラブの“お菓子”のイメージにぴったりだと
長男が話す
<ミニドーナツ>を一袋持たせて。

2階の窓から見送った後、
退屈をもてあます次男を連れて
長男が向かったのとは別の公園へ出かけた。


トヨタのノアとヴォクシーは、
ま、おんなじクルマ。
いわゆるミニバン。
四角いやつ。

この車を運転している時、
いつも「不安」を抱えていた。

車高が長く、
運転席から見えない部分も多いため、
どっかにこすっちゃうんじゃないか……
という不安。

四角い車体のため、
風に吹き飛ばされるんじゃないか……
という不安。
横風が吹くと車体が揺れるし。

車内空間を高くしたため、
なんか倒れるような気がする……
という不安。
高速道路でカーブを曲がっていると、
内側のタイヤが浮く感じがした。

そして、
この7人乗りのクルマを借りている時は
基本的に、
妻の両親を連れて旅行に行ってる時なので、

もし、クルマが動かなくなったらどうしよう……
という不安がいつもあったのだ。

なんというか、
三世代が暮らす“家”を任されている感じ。

責任に不安はつきものなのだ。

実際、新潟のホテルの駐車場で
ヴォクシーのエンジンがかからなくなったことがあって
その時は、
冷や汗をだくだくとかいた。

レンタカー屋さんにも電話して
どうしよう、どうしたらいいでしょうと
相談した覚えがある。
実は俺のちょっとしたミスだったのだが。


「不安」が生まれるのには
二つの場合があると思う。
ざっくり言えば。

一つ目は
「もしこんなヤバいことが起こったらどうしよう」
という不安。

オバケが出るとか、事故を起こすとか。

もう一つは
「しなくちゃならないこと、
 するべきことを
 もしもうまく果たせなかったらどうしよう」
という不安。

仕事の締め切りとか、朝食や弁当を作るとか。

もちろん、
後者の不安のほうがより現実的で日常的で、
しかも実はキツイ。

だから
“家”というものからは逃げてきた。

宝くじでも当たれば別だが、
フリーライターなんていう儚い商売で
マンションや一戸建てを買うなんて
考えただけでも恐ろしくなる。

買ったら買ったで
ローンが残っているうちはとんでもない恐怖が
肩にのしかかる日々になる。

俺にとって、
“家”とは「不安」のかたまりなのだ。

だから、
“家”のようなクルマ、
ノアやヴォクシーを運転していると
いつも不安を抱えていたのだ。


次男と遊んでいたら
案の定、雨が降ってきたので、
午後3時半に公園からアパートに帰った。

ちょうど長男も帰ってきたところだった。

『お菓子を食べながらのんびりしようクラブ』の
集会はやれたの?

聞いてみたら、返事はこうだった。


まず、
集合場所の三角公園に歩いて行ったら、
なんだか道に迷っちゃって、
その公園の場所がわからなくなった。

とりあえず、
三角公園の場所を確認するため
一度家に戻ってきたが、
父である俺も弟もいない、
母親も買い物に出かけていて
玄関には鍵がかかっている。

しょうがない、
クラブのメンバーの一人、
Aくんの家を訪ねてみた。

Aくんは、
やはりクラブのメンバーであるBくんと
遊びに出かけたそうだ。

そこで長男は、Aくんの母親に
集合場所までの道筋を聞いて、
もう一度、三角公園へ向かう。

子供の足だから30分弱か、
今度は道に迷わず、
やっと会合地点に着いたものの
そこにクラブのメンバーは誰もいなかった。

長男は、ふたたびAくんの家に向かう。
その周辺で遊んでいる可能性が高い
AくんとBくんを探そうと思ったのだ。

近所をAくんの母親や、
Aくんの兄貴&その友だちもいっしょになって
ふらふら探したのだが
やっぱり見つからなかったらしい。

どうしようかな……と思ったら
井の頭公園グランドで祭りをやっている。

とりあえず、祭りを見ながら
ぶらぶら探したりして、
なんだか気が済んだので
家に帰ってきたのが3時半だったとのこと。

2時間弱、
長男はぶらぶらぶらぶら歩いていたのだそうだ。
ミニドーナツを食べながら。

それじゃ、
『お菓子を食べながらのんびりしようクラブ』
ではなく、
『お菓子を食べながらぶらぶらしようクラブ』
じゃないか、
しかもお前ひとりで!

と思ったが口には出せなかった。

ガキというのはすごいなと思ってしまって。


そこには
俺がミニバンを運転している時に感じるような
「不安」はまるでない。

「もしもうまく物事が進まなかったらどうしよう」
という恐怖は存在しない。

いや、たぶん心の中のどこかには
恐怖や不安を持っているのだろうが、
とりあえず忘れて歩き続けているのだ。


すっとぼけた顔を見ながら、
長男が持って行ったミニドーナツの
残りを一つ食べた。

甘くて、思いのほかウマかった。

不安を抱えながらも
不安に負けないように歩くのだから、
長い人生には
甘いドーナツが必要なんだなーと思った。


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