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田代島 猫旅日記 その3 [2015/04]

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『田代島 猫旅日記』その3

ピンポンパンポーン。

朝、5時半ごろ、
民宿で目が覚めてぼやーっとしていたら、
島内放送が聞こえてきた。

「本日、7時40分の石巻行の網地島ラインは
 欠航となりました」

というようなことを言っている。

やっぱりだー。
80%の確率だもんな。
今日は船が出ない。
田代島でもう一泊することが決定。

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ヒジキ煮と
海藻入りの味噌汁がたまらない
朝ごはんをいただいて、
またまた島の散策に出かける。

とりあえず、
「おかあさん」こと「ちゃめ子」に
挨拶したいという次男と近所に出かけて、
猫をながめていたら、
なぜだか次男が足を痛めている。

どこでなにしたんだか、
本人も分からないが
とにかく右足の親指が痛いらしい。

しょうがない。
足が痛くて歩くのが嫌な次男と
“朝は布団が大好き”な長男を民宿に残して、
田代島のもう一つの集落、
大泊まで行ってみることにする。


結構しんどい坂道を上って、
帰りにまた上るかと思うと
ずーんと気が重くなる坂道を下って、
大泊の集落に到着。

oodomarinekomark.jpg

大泊には猫がいないという噂を
ネットかなんかで仕入れていたのだが、
実際には、猫はいた。

数は少ないが、
6匹くらいの集団でたまっている。

近くを通ると、
そのうちの一匹が少しだけ近づいてきた。

軽くなでたが、
すぐにさっと身を引いた。
全般的に仁斗田の猫ほど
知らない人間にはなついてないようだ。

何より違うのが、
この大泊で出会った猫たちは、
わりと脚が長く、
顔も体もすらーっとしていることだった。

言ってみれば、美猫の一族だった。
俺の好きなタイプだな、と思った。


ツイッターやら
フェイスブックを使うようになってから、
自分の人生で大きく変わったことが一つある。

他人が飼っている猫、
しかも、かなりカワイイ猫を
「自動的に見せつけられる」ようになったことだ。

猫や犬が飼えない借家に住んでいる身としては、
かなりうらやましい気持ちにさせられる。

実際、
猫や犬を飼える家に住んでいたとしても
飼わない可能性は高い。

だが、人間というのは
「ないものねだり」が激しい動物だ。

人様の愛する猫を見せられるだけで、
自然、
妬みとか敗北感を
胸の中にふつふつと湧き上がらせているのだ。


そんなことを
田代島大泊地区の美猫、
わりと好きなタイプの猫を見ながら考えていた。

その時、自分の中で起こっている
ちょっとした異変に気がついた。

今、
グレイの美猫を目の前にして、
思い浮かべているのは
仁斗田の白黒ブチ猫なのだ。

shirokurobuchi.jpg

「ちゃめ子」の後ろから現れる
もしかしたら「ちゃめ子」の息子かもしれない
太った丸顔のブチ猫。

目からヤニが出まくっていて、
脚も短く、
歩き方もよたよたしていて、
今までの俺の価値観では
「あんまり好きじゃないタイプ」の猫が、
目の前の美猫よりも
好きになっていることに気づいたのだ。


仁斗田集落と大泊集落の
真ん中あたり、
山を上って行ったところに
田代島小学校の跡地がある。

廃校となった小学校。
tasirojimashougakkou.jpg

校舎は取り壊されていてすでにないが、
体育館と、
二宮金次郎像は立っていた。

二宮少年の像と
白黒ブチ猫の顔を思い出しながら、
旅効果だなと思った。

ninomiyakinjjiro.jpg

自分自身でも知らなかった
自分の嗜好や楽しみを知ること。
そのために
田代島まで来たのかもしれないと思った。


        →その4に続く
        →その2に戻る


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